なぜ強くなれないのか

5級、2級、初段あたりで棋力が止まり、いくら囲碁の勉強をしても、一向に強くなれないという方が数多くいると聞きます。その原因のほとんどは、個人能力や才能に起因しているのではありません。間違った囲碁の学習方法とや対局意識にあるといえます。つまり、上達には囲碁理論の理解というものが最も大切であり、正しい理論にもとづいた、自分の棋力にあった学習方法が絶対条件になるのです。そして、学習目的というものが、「自分が有利であると思う構想を実現する工夫ができるようになること」として最終目的を設定 しなければならないのに、そのことに、全く気づいていないために起こっています。

囲碁理論と練習問題との関係は、布を織るための縦糸と横糸の関係と同じであって、そのどちらか一方が欠けても綺麗な絵の布を織り上げることはできません。片方が欠けると、糸がほぐれた状態切れやすくなり、痛みがひどい場合には、大きな穴があいた状態になるのです。このような穴は、「理論というものの理解への間違い」から生まれています。そして、その思考の布に大きな穴によって、いつも同じ失敗を繰り返すことになり、囲碁の上達が損なわれることになるのです。(図1)

図1 上達するための思考の布の広がり

つまり

  1. 囲碁理論の学習をしたことがない。…縦糸がない
  2. 構想を優劣によって棋力が変わることに気づいていない。…大きな布にならない
  3. 構想が囲碁理論によって生まれていることに気づいていない。…布が織れない

またさらに、

  1. 部分練習の問題ばかりを解いて、上達できると思い込んでいる。
  2. 問題の解答を、絶対的な「正解手」または「最善手」と勘違いしている。